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Vol.33
防災におしゃれは必要?人気の整理収納アドバイザーが辿り着いた、無理なく備える暮らしのスタイル《後編》
北欧テイストを取り入れた、シンプルな暮らしを紹介するインスタグラムはフォロワー15万人以上。整理収納アドバイザーとして大人気のMisaさんが『おしゃれ防災アイデア帖』を出版されました。すっきりした暮らしと、備えのある暮らしを両立させるアイデアの数々が「真似したい!」「目からウロコ!」と話題の一冊。今回は、著者のMisaさんにお話を伺いました(前編はこちら)。
視点を変えたら、防災が変わった
防災におしゃれが必要、と感じた理由を改めて教えてください。
大阪府北部地震のすぐ後、今度は大きな被害を出した台風21号に直撃されたんです。ベランダに置いていた、絶対に飛ばないと思ったものが、ブワッと舞い上がるほどの暴風雨で。押さえるために夫が外へ出ようとしたとき、そのときはキッチンにあったボウルを頭にかぶってもらうしかなかったんです。もし防災ヘルメットを持っていたら、家族の誰でも使えるし、一生モノだなと痛感しました。
ただ、ヘルメットをはじめ昔ながらの「THE 防災」みたいな商品を見てみても、正直グッとこなくて……。そこで、見た目が好みのものを探してみることにしたんです。大きくて黄色いイメージだったヘルメットも、探してみると小さく折りたためるシンプルなものが見つかって。探せばあるんだ!という、うれしい衝撃でしたね。
このとき、防災用品でも選んでみると意外に楽しめるし、しっかり考えて納得して迎えたものは、愛着を持って管理することができるなと感じたんです。それをキーワードにして備えに活かしていこうと思った瞬間でした。
インテリアの工夫ひとつで減災に
この本は部屋づくりの前提として災害を捉えていて実用的ですね。
正直、災害対策の制限がない方が、自由に部屋づくりを楽しめるのになぁとは思います。ただ大阪府北部地震のとき、近所の人たちが壊れた家具・家電を駐車場で山積みにしているのを見て。「こんなことになるんだ」という衝撃を受けましたし、そういった被害を出すぐらいなら、安全な部屋づくりをしようと自分自身にも言いきかせるように変わりました。
本の中から、すぐ参考にできるアイデアを教えていただけますか?
ひとつは、何かを飾るときに家の中でどこが安全かを意識してほしいと思います。例えば背の高い家具をポンと置いてしまうと大きく揺れて危ないのですが、壁に固定していたり、建てつけのシェルフは建物以上に揺れることはないので、比較的揺れに強いんです。
それから高い場所に物を置いたり飾るのであれば、カゴのような軽い素材を選んでほしいです。サイズが大きかったり重いものは、床に近い場所を選びましょう。もし落ちてしまっても、被害が最小限になるよう意識をした配置にしておくと安心です。
防災グッズの収納は、隠してしまった方がすっきりするのですが、わが家ではあえて目につきやすい廊下の「一等地」にまとめて収納しています。蓋をして棚の奥底にしまい込んでしまうと、中身が思い出せなくなったりして管理しづらいんです。ラベリングをして半透明のケースに入れておけば、普段から使ったとき残量の確認ができたり、家族みんなが意識を向けて管理できます。あまりなじみのないヘッドライトでも、夜の散歩で首から下げて歩くなど、日常的に使うようにしています。存在を忘れてしまったり、いざというときに電池切れということがないよう、日頃から使い慣れておくことが大切ですね。
防災は完ぺきじゃなくて良いんです
最後に、まだ防災に距離を感じている方へメッセージをお願いします。
私が防災の備えを十分にできていなかった理由は「ちゃんとやらなきゃいけない」と思い込んでいたことでした。間違えたらいけない、やるなら100%を目指さなきゃいけない、と。でも、全然そんなことはありません。今できることを少しずつでいいので、まずは始めてほしいと思います。水を数本買うことも、モバイルバッテリーを購入することも、防災です。今もしライフラインが途絶えたら、何に自分が一番困るかを考えてみることが、はじめの一歩になります。
すでに自宅にあるものが知識次第で防災に役立つこともあります。たとえば、100円ショップでも売っている70リットルの黒いゴミ袋。避難場所で着替えるときや、エレベーターで緊急用トイレを使うことになったとき、目隠しに使えるんです。物をたくさん備えるのが難しいと感じたら、知識を持つだけでも、いざというときに自分を救ってくれます。
家をすっきり片付けて快適に暮らしたい、という気持ちに是非「命を守る、安全な家にする」というテーマをプラスしてほしいと考えています。もしものとき家具で命を落としたり、逃げ場を塞がれてしまわないために。この本を手に取っていただくことで、おうちを見直すきっかけにしていただけたらいいなと思います。
聞き手・文:D.Sata/SAIBOU PARK/防災士
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Misaさんインタビュー《前編》
【最新令和版】衝撃の南海トラフ巨大地震 被害想定 避難者880万人 死者23万人超
『おしゃれ防災アイデア帖 日々の暮らしに馴染み、”もしも”の時は家族を守る70の備え』
取材先紹介
整理収納アドバイザー・地震ITSUMO講座認定講師。夫と息子二人との4人暮らし。大阪府北部地震をきっかけに、暮らしに馴染む備えを考えはじめる。インスタグラムは15万人以上のフォロワーを持つ。著書に『北欧テイストのシンプルすっきり暮らし〜散らかっても10分で片づくアイデア〜』(マイナビ出版)がある。
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