Vol.1

2年目のSAIBOU PARK。サービスにかけるCEOの想いと、今後のミッション

デザインとITのパワーで防災に変革を

こんにちは、サイボウデジタル株式会社代表取締役CEOの奥村祥国です。

防災用品のセレクトショップSAIBOU PARKは、まもなく開業1周年を迎えます。「デザインとITの力で、防災業界に変革を起こしたい」という熱意一本でスタートし、がむしゃらに走り抜けた1年が終わろうとしています。狙いどおりにやれた部分もあれば、お恥ずかしい失敗も……。ただ、もがき続けるなかで多くの出会いに恵まれ、たくさんの方に支えられ、なんとかここまで展開することができました。本当にありがとうございます。

そして1周年を迎えるタイミングで、予てから構想していたSAIBOU PARK MAGAZINEをこうしてオープンすることができました。私自身この1年間のいろいろな経験を通して、経営者としての見通しがクリアになってきたと感じています。そこで私たちの成功や失敗、描いているビジョン、これからのミッションを改めて知っていただく場として、このSAIBOU PARK MAGAZINEの記事番号001を選びました。防災業界、IT業界、製造業界、そして家庭や地域や職場での防災に取り組まれている方にも、私たちの思いをお伝えできたら幸いです。

若い日の挫折とアパレル業界への道

東京都世田谷区で生まれ育った私は、とにかく元気で走り続けるような青春を送りました。学生時代はテニスに明け暮れ、20歳のときには、世界中のプロが集まるアメリカのテニスキャンプに参加したことも。必死に親戚を回ってお金を借りて渡米したものの、そこで目の当たりにしたのは、テニスに人生をまるごと捧げてきた屈強な選手たち。実力的にも、海外で生活基盤を築くことの難しさにも限界を感じてしまい、泣く泣くの挫折。結局は、日本での社会人キャリアをスタートすることになりました。

テニスに明け暮れた10代の頃(右)。のちに結城剛氏(左)との再会がSAIBOU PARK立ち上げのきっかけになる

初めての仕事は飲料メーカーでの営業職。多いときには1日50件、ひたすら飛び込み営業をまわる日々……時代のせいかもしれませんが、門前払いならまだ良いほうで、渡した名刺を目の前で破り捨てられるような苦い日々を味わいました。

やがて服の小売店を営む企業に移ったのですが、これがのちにキャリアの中心となる、アパレル業界への第一歩になりました。営業から在庫管理、企画、デザインまで、職種を縛ることなく挑戦させてもらえる環境だったので、幅広い経験を積むには絶好の場でした。

小さな前進とECとの出会い

社内でオリジナルのブランドを立ち上げようという話になったとき、担当者として白羽の矢が立ったのが私でした。新規のファッションブランドを立ち上げるという大役でしたが、2003年、ありがたいことにこの事業がヒット! 一躍、裏原宿から全国区ブランドへと成長させることができました(「W- FOUR(44)」というブランドでした)。

ECとの縁が生まれたのも、この頃でした。当時はまだ服を買うといえば店頭まで出向いて、店員と会話しながら選ぶのが一般的。「質感やサイズもわからない服をネットで買うなんて」と言われた時代でした。それでも私は、いつかは服もネットで買う時代が来ると信じていたので、ブランド事業の一貫で服のネット販売を始めました。しかしながら当然まだ、そういう消費習慣が世の中になかったこともあり、オンラインではあまり売れなかったのは言うまでもなく(笑)。

数年後、盛者必衰の理でブランドの人気も次第に落ち着いていきました。それを機に、夢を叶えるべく会社勤めから独立し、自分のファッションブランド「OBASUKA」を立ち上げました。同時に、衣装製作・スタイリストとしての活動を本格的にスタート。気づけば、お笑い芸人の次長課長の河本さんをはじめ、ケツメイシ、湘南乃風、AIなどアーティストのお手伝いをすることも多く、いま思えば眩しいような、貴重な経験をたくさんさせていただきました。

美しい世界の泥臭い裏側にて

そうこうしているうちに、衣装製作・スタイリストとしてのご縁から、今度はギルト・ジャパンに籍を置くことに。ギルトはラグジュアリーブランドに特化した、服の通販サイトを運営する企業。ニューヨークに本社を置き、米国内ではユニコーン企業として飛ぶ鳥を落とす勢いでした(のちに映画「マイ・インターン」のモデルになった企業とも言われています)。

2009年に日本支社が設立され、私はバイヤーとして採用されました。ところがギルトは当時まだ日本での知名度が低く、私は思いがけず再びハードな仕入れ営業の戦線に立たされることに……。いくら飛び込み営業をかけても、相手にすらしてもらえませんでした。しかも相手は世界の名だたるハイブランドの面々。商品が集まらないせいでセールが実施できず、打ちひしがれる思いを何度したことか……。挫けそうな気持ちと戦いながら、一社ずつ根気よく説得してまわり、少しずつ顧客との信頼を築き、商品を集めていきました。ECの可能性を信じる情熱があったらからこそ乗り越えられたものの、きらびやかな画面の裏側は、恐ろしいほど泥臭い戦場だったのです。

心身ともに疲労困憊だったある日、価格の桁を間違えて1つ少なく設定してしまったことがありました。気づいた頃には時すでに遅し、目の前で爆発的に売れていく商品を見て、すっかり青ざめたという大失敗は、今でも思い出すと冷や汗が止まりません……。ネットビジネスの便利さと恐ろしさを学んだ苦い思い出です。

それでも、年2回はニューヨークの本社に行って最先端のファッションやEC業界、彼らの働き方やライフスタイルに触れるなど、毎日が新鮮でエキサイティングな経験になったのは言うまでもありません。やがて私自身がMDディレクターやクリエイティブディレクターに昇格していくと同時に、企業としても事業を拡大して成長していく段階を、シンクロしながら体感できたことは私自身の大きな成長になりました。

「防災」との出会い

災害について強く意識したのは東日本大震災の時でした。私自身は東京にいたのですが、停電でマンションのエレベーターや駐車場が使えず、かなり慌てたことを覚えています。そして妻の故郷でもある宮城県名取市は津波に襲われ、義母が住む閖上地区の一帯は跡形もなく、すべてが失われてしまいました。自分は「防災」のために何か働きかけることができないか、という気持ちが芽生えたのも、この頃だったと記憶しています。

そして数年後のあるとき、学生時代からの先輩である結城剛氏と再会しました。彼は株式会社サイボウの二代目代表取締役として、消防設備の点検・工事や、消防・防災用品の提案販売などを行う総合防災の企業を代表するようになっていました。近況報告としてECやITの話をするうちに、防災×IT×デザイン(クリエイティブ)の可能性が目の前に広がっているのでは、という話になり、すっかり意気投合。デジタルの力で防災を発展させて、未来の防災・減災を目指そうということになりました。これが、SAIBOU PARKのはじまりです。

事業としてのこだわりと、命を守ること

立ち上げ以来、SAIBOU PARKではいくつかのこだわりを貫いています。
まずは商品の「デザイン力」。世の中に出ている防災用品はデザインへのこだわりが薄いことが多く、手元に欲しいなと思えるアイテムが存在しないのであれば、自分達がデザイン性のある商品を制作し提供していこうというスタンスにこだわっています。
つぎに「クリエイティブ力」。ウェブサイトから商品に至るまで、すべてのプロダクツに対して常にクリエイティブな思考で展開していきたいと考えています。固定概念にとらわれないクリエイティブ力を発揮することで、今までにない「防災」を多くの方に知って頂くような場を提供することに徹底しています。
そして最後は「デジタル力」。SNS等あらゆるデジタルツールを使って、これまでのアナログツールではリーチできていなかった人達へのアプローチを目指し、若い世代にも浸透する「防災」を目指しています。

……と、ここまで失敗談やビジネスの話ばかりになってしまいましたが、いちばん大切なのは、『命を守る』ということです。ひとりでも多くの人が、備えることに気持ちを向け、行動を起こしてほしい。そのために私たちは、多くの人が防災に新しい価値を見い出し、備える機会を得るための場所としてSAIBOU PARKを運営しています。

最後に:私たちのミッション

旧態依然とした部分が多い防災業界。飛躍的な進化が著しい競争市場のなかで、「防災」という分野が取り残されてきたことは、備えることに対する消費者の消極的な姿勢に直結しています。その結果、ワクワクするような新商品が矢継ぎ早に現れるファッションやインテリア雑貨、家電やスイーツと違って、防災用品の新陳代謝はのんびりと進んできました。

「必要だから、仕方なく用意する」ではなく、「大切な家族、友達、恋人、そして自分自身を守るために」もしもの時に備えてほしいと考えています。そして一人ひとりが、暮らしと調和した防災のスタイルを確立すること。これはSDGsに掲げられている災害に強い社会を実現するためにも、私たちの究極の目標である「命を守る」ためにも欠かせない要素です。

私たちは1人でも多くの方に「備える」ことを提案し続けていきます。自然災害をなくすことはできなくても、被害を防いだり減らしたりすることはできるからです。誰もが安心して暮らせる社会を実現できるように、お手伝いしていくことが私たちのミッションです。

防災用品のセレクトショップ
SAIBOU PARK

聞き手/SAIBOU PARK MAGAZINE編集部

目次

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