Vol.149

会社の防災対策は法的義務?企業防災のポイントと備蓄リスト

企業防災はプロに相談を

総合防災の株式会社サイボウでは、企業や学校など法人様からのご相談を承っております
1966年の創業以降、半世紀以上に渡って多くの自治体様、法人様の安心・安全を支えてまいりました。豊富な実績をもとに、お客様の万全な防災の実現を全面的にバックアップいたします。

「何をどれぐらい用意したらいい?」
「今ある備蓄には何が足りない?」
「社内備蓄を効率的に管理したい」
「うちの防災・防火設備は最新の法令に適合できている?」
「予算内で最大限の備えを整えたい」など、

防災備蓄のご提案から調達まで、まずはお気軽にご連絡ください。現在の備蓄状況のチェック、新規購入、買い替えのご提案、ご状況にあわせた調達、設備の点検や工事まで、ワンストップでサポートいたします。

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企業の法的義務

労働契約法第5条では、企業が従業員の安全に配慮することが義務付けられています。また、労働安全衛生法第3条第1項では、企業は労災を防ぐ最低基準を確保するだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて従業員の安全と健康を確保しなければならない、と定めています。

ただ労働契約法では明確な防災対策が指定されている訳ではありません。具体的な対策については、企業がそれぞれ考えて実施しなければならないのです。したがって災害時に従業員を守るために、可能な限りの対策を用意しておく必要があるといえるでしょう。

賠償責任のリスクも

もし企業が十分な防災対策を用意していなかったことが原因で、災害時に従業員が被害を受けた場合、企業は安全配慮義務違反として法的責任を問われ、損害賠償が請求されるおそれも。実際に過去の災害で起きた同様の判例には、企業に数億円から数十億円の賠償金支払い命令が下ったケースも少なくありません

つまり企業は従業員に対して、日頃から起こりうるケガや病気を可能な限り防ぐ安全配慮義務を負い、これは自然災害発生時も例外ではないということです。労働契約法では安全配慮義務違反についての具体的なペナルティこそ規定されていませんが、結果的に訴訟や賠償責任につながるリスクは無視できません。

なぜオフィスの防災備蓄は必要?

オフィスでの防災備蓄が必要な理由のひとつは、災害による停電や断水が起こったあとに事業を継続するための従業員が働く場所を保持し続けるため。BCP(企業が非常事態に遭遇した場合に損害を最小限に留めつつ、事業の継続もしくは早期復旧を実現するために、あらかじめ平時・緊急時の行動を決めておく事業継続計画)のひとつとして、欠かすことのできない備えです。

都市部では、備蓄がないなどの理由で従業員をオフィスから帰してしまうと、帰宅困難者となり火災や群衆雪崩など二次災害に巻き込まれるおそれも。また都市部以外では、帰路が断たれるなど事業所から動けなくなった場合に、救助の到着など状況が打開されるまでの期間をしのぐ備えとして。このように、オフィスでの防災備蓄には企業の社会的責任を担う側面があることが分かります。

条例化する自治体も多い

オフィスの防災備蓄を推奨すべく、各自治体は条例などを作って企業に呼びかけています(東京都帰宅困難者対策条例、神奈川県地震災害対策推進条例、愛知県帰宅困難者対策実施要項、福岡県備蓄基本計画など)。

企業による防災備蓄は、各自治体ともに違反ペナルティを伴わない努力義務として位置付けています。しかし先述の労働契約法に基づく安全配慮義務や訴訟事例を考えれば、リスクマネジメントの観点からも最低限以上の用意をしておくことが望まれます

引用:東京都/帰宅困難者対策ハンドブック

在宅勤務にも対応を

リモートワークが導入されている職場では、従業員がオフィスにいないことも。その場合でも、企業の従業員に対する安全配慮義務が免除されることはありません

自宅で勤務する従業員に防災用品を送付したり、福利厚生制度に防災用品購入費を追加することで購入を促す、または在宅勤務手当に防災用品購入費をプラスするなどの対応が推奨されます。勤務形態として出社と在宅勤務が混在している場合は、社内の出社率を基準として防災備蓄の量を検討しましょう。

最低限3日分を用意して

オフィス防災の分量は最低限でも3日間×従業員の人数分が目安。この「3日間」は、人命救助のタイムリミットとされる発災後72時間でもあり、緊急車両が走る道路を帰宅困難者が埋め尽くすことを回避する必要があります。また通信や交通を含めたライフラインの復旧は短くても3日はかかるとされています。詳細はこちらの記事で解説しています(「非常食はどれくらい必要?オススメの選び方と保管のコツ」)。

用意すべき備蓄品のガイドラインは以下の通り。ただしこれは、あくまでも標準的な内容。業務内容や事業所の周辺で想定される災害、勤務形態などに合わせたカスタマイズが欠かせません

備蓄するもの防災士からのアドバイス
1日ひとり3リットルが最低限の目安。
計ひとり9リットルの用意を。
非常食主食になるものを用意。
加熱が必要なものだと苦労する場合も。
毛布・寝具防寒にも重宝する毛布は必須。
できればアルミシート、寝袋やエアマットも。
非常用トイレ断水しても用を足すために。
専用アイテムなら衛生面も安心。
懐中電灯スマホのライトはバッテリーの消耗大。
電球の寿命が長いLEDタイプの懐中電灯を。
情報収集ツール携帯ラジオや乾電池など。
停電に備えてスマホ充電器は乾電池式を。
救急セット応急処置が行えるだけの医療医薬品を。
AEDの設置、場所の共有を徹底して。
救助用品閉じ込められたり什器の下敷きになる場合も。
ジャッキやバール、滑らない軍手など。
ヘルメット避難中の落下物による二次災害を防ぐ。
大地震のあとは必ず余震があるので必須。

まとめ:まずはプロに相談を

企業の防災は、所在地や周辺環境、業務内容、従業員の特性によって「目指すべき姿」が変わるものです。必須でありながらも正解が見えづらい課題だからこそ、お困りの点は防災のプロにご相談ください。

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執筆:SAIBOU PARK MAGAZINE編集部

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