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Vol.32
防災におしゃれは必要?人気の整理収納アドバイザーが辿り着いた、無理なく備える暮らしのスタイル《前編》
北欧テイストを取り入れた、シンプルな暮らしを紹介するインスタグラムはフォロワー15万人以上。整理収納アドバイザーとして大人気のMisaさんが『おしゃれ防災アイデア帖』を出版されました。すっきりした暮らしと、備えのある暮らしを両立させるアイデアの数々が「真似したい!」「目からウロコ!」と話題の一冊。今回は、著者のMisaさんにお話を伺いました。
『おしゃれ防災アイデア帖 日々の暮らしに馴染み、”もしも”の時は家族を守る70の備え』
すぐに片付けやすい部屋づくり
シンプルな暮らしを始めたきっかけを教えてください。
結婚して初めて住んだのが、あまり収納スペースのない家だったんです。そこで嫁入り道具と呼ばれるような食器セットなどは持ち込まず、ほとんど物がないまま新生活を始めました。いざ暮らしてみると、必要な物は意外にも少なくて。必要になったときに吟味しながら物を揃えることの楽しさに気づいたんです。同じお金を使うなら、選ぶところから楽しんで買う。思い入れがある状態でスタートできれば、もっと物を大切できるーー。そんなスタイルで生きていけたらなあ、と思ったのが最初のきっかけでした。
お子さんが二人いらっしゃると部屋は散らかりませんか?
そうなんです(笑)小さな子供と暮らしている以上、あっという間に散らかってしまうので、どれだけ片付けやすい部屋にできるかに焦点を当てて考えています。本気を出せば10分ぐらいで片付けられる仕組みにすることで、息子たちには「思う存分散らかしなされ」ぐらいに、ドンと構えて向き合えるんです。
生活感のない無機質なスタイルもいいなと思う一方、私自身が家事・育児をすることを考えると、暮らしを回しやすいことが優先になってくるので、生活ありきのスタイルに落ち着いています。
考えが180度変わった被災体験
防災に意識を向けられたのはいつ頃からですか?
考え方が変わったのは、2018年の大阪府北部地震。それまで私は災害に対して楽観的で、近所のコンビニやドラッグストアが私のストック(備蓄)だと、本当に思い込んでいました。大きな揺れのあと、断水を心配して水を求めてコンビニを目指したものの、割れたガラスが飛散していて中には入れない状態。「こんなことってあるの!?」と焦ったことを今でも覚えています。
2011年には東日本大震災の報道を見て、家族を守るために絶対に備えをしようと固く誓ったはずなのに、ずっと後回しにしてしまい。結局は何の準備もできていなかったということが、自分自身でショックでした。大阪府北部地震の当時、息子は4歳と6歳。小さな子供から「喉が渇いた」と言われたら、どうしよう……。そんな恐怖感から、やっぱり私のストックはコンビニじゃない、自宅で備えなければという考えに変わりました。
それまでの「持たない暮らし」に、どうしたら前向きな気持ちで防災を取り入れられるだろう。悩んだ結果、どう選んでいくか、どんな風に収納するかを意識してみることにしました。水を備えるにしても、長期保存できるものを棚の奥底にしまい込んでしまうのではなく、あえて賞味期限が短いものを身近な場所に置くんです。美容と健康のためにも毎日それを飲んでいくことで、管理しやすいローリングストックとしても成立させる。そんな風にポジティブな視点をプラスしながら、ひとつひとつ自分のなかで落とし込んでいきました。
守りたい気持ちを原動力に
この本では「家族を守る」という想いがキーワードですね。
私自身、子供のとき京都で阪神淡路大震災に遭い「揺れて怖かった」という記憶があります。ところが大人になったとき、その経験を生活に反映できていませんでした。震災当時は親元で守ってもらえる場所にいたので、心のどこかで安心してしまっていたんだと思います。でも今は、私が子供たちを守らないといけない立場。自分が空腹でもいいけど、子供がお腹すいたり喉が乾いて泣いてると思ったら、すごくつらい。そういう気持ちが原点になっています。防災が面倒くさく思えるときは、今もし災害が起きたらどうする?大事な子供はどうなる?と励みに考えるようになりました。
お子さん用に、防災サコッシュを用意されたとか。
そうなんです。小学生男子にあれこれ持たせても管理が難しいので、ポシェットぐらいなら……と思ってシンプルな中身にしています。家族で出かけるような「守ってもらえる」環境のところにいくときよりも、旅行先を散策したり、近所までお使いに行くような「守ってもらいにくい」環境に行かせるとき持たせるようにしています。もしものときに使うものだからこそ、普段から使い慣れておいた方が安心なんです。
持たない暮らしから、備える暮らしに変化したMisaさん。最初は防災という言葉にすら苦手意識があったそうですが、ある視点を変えたことで備えることへのイメージが変わったそうです。後編では考え方のヒントや、本の中からすぐに参考にしたいアイデアを教えていただきます。
聞き手・文:D.Sata/SAIBOU PARK/防災士
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【2022年版/防災士監修】非常食は何日分が必要?選び方と保管のコツ
取材先紹介
整理収納アドバイザー・地震ITSUMO講座認定講師。夫と息子二人との4人暮らし。大阪府北部地震をきっかけに、暮らしに馴染む備えを考えはじめる。インスタグラムは15万人以上のフォロワーを持つ。著書に『北欧テイストのシンプルすっきり暮らし〜散らかっても10分で片づくアイデア〜』(マイナビ出版)がある。
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