Vol.43

気象庁が線状降水帯の予報をスタート! 事前対策と、もしもの対処法

線状降水帯の正体

「線状降水帯の代表的な発生メカニズムの模式図」気象庁より引用

線状降水帯とは、次々と発生する複数の積乱雲が連なる現象。気象庁の定義によると、「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することでつくりだされる、線状に延びる長さ50~300キロメートル程度、幅20~50キロメートル程度の強い降水をともなう雨域」となります。

サッと終わることが多い「ゲリラ豪雨」と違って、激しい雨が同じ地域に長時間降り続けます野山や市街地の排水能力を遥かに超える雨量が続くため、河川の氾濫や土砂災害などの被害が多く出るのが特徴です。

抱えて浮いて水の事故から命を守るフロートライフリュック

予報は半日前に発表

気象庁は2022年6月から、線状降水帯が発生する半日前に予報する取り組みをスタートします。
陸地に流れ込んで線状降水帯を発生させる、海上の暖かく湿った空気。この情報を民間船舶などがキャッチし、データを気象庁に集約させることで発生地域を予測します。当面は広域での予測になりますが、将来的には市町村レベルまで絞り込んだ精度を目指していくそう。

予報が出たら避難に向けて

気象庁や自治体から「避難しろ」と命令されるのを待つのではなく、周囲の人と声をかけ合いながら、自主的に早め早めの避難を心がけてください。浸水などで避難が難しい場合には、建物の2階以上に上がる垂直避難の検討を。地すべり・土砂崩れの恐れがあるので、避難時には崖の近くを避け、家の中で避難する場合でも崖側の反対側の部屋に移動しましょう。

いまスグできること

緊急時には、非常に多くの情報が飛び交います。その中から、ご自身にはどんな情報が必要になるのか(土砂災害?河川の氾濫?)を平時から把握しておき、もしもの時にサッと情報をピックアップできるように練習してみましょう。

線状降水帯に限らず、突然の大雨による河川の氾濫や浸水には事前の対策が欠かせません。自宅の浸水を防ぐアイテムや、とっさの落水から身を守るためのリュックを備えておきましょう。

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気象庁/キキクル
大雨による災害発生の危険度の高まりを地図上で確認できる「危険度分布」マップ

まとめ:まさかと思わないで

災害は思いがけないタイミングや場所で発生します。まさか自分が、まさか地元が、と油断せずに事前対策を整えておきましょう。線状降水帯は非常に危険な大雨をもたらします。少しでも「逃げたほうがいいのかな」と不安に思う状況になったら、勇気を出して避難してください。

執筆:SAIBOU PARK MAGAZINE編集部
監修:D.Sata/SAIBOU PARK/防災士

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